超「個」の教科書 風間八宏
「全員を平等に扱う」より
〇今よりもできるようにする
私がチームをマネジメントする時に大事にしているのが、「全員を平等に扱う」ということです。
〝平等〟という言葉の響きからは、全ての選手へ同じような要求をするというようなイメージがあるかもしれません。ただ、私の考える〝平等〟はそうではありません。
例えば、何十点も決めているエースと、ほとんど試合に出ていない若手がいるとします。2人の実績がどれだけ違ったとしても、私かやるべきことは変わりません。それは、「今よりもできるようにすること」です。
だから、エースの選手にはエースの選手なりの要求をするし、試合に出ていない選手には試合に出られるように伸ばす。そういう違いはありますが、「今よりもできるようにすること」というのは同じです。
どんな選手でも、ちゃんと練習すれば、必ずうまくなります。だからこそ、「この選手をどこまで伸ばせるか」というところに徹底的に向き合えば、それ以外のことが入り込んでくる余地はなくなります。
私が、絶対にしないように心掛けているのが「人と人を比べること」です。
「あの選手みたいにやってみろ」
「そんなプレーは、みんなできるぞ」
こんな風に言われると、自分ではなく、人と競争するようになってしまいます。そうなると選手は伸びていきません。
〇全ての選手を諦めない
もう一つ、大事にしているのが「全ての選手を諦めない」ということです。試合や練習でのパフォーマンスを見ていて、「この選手はちょっと厳しいな」と感じることは正直に言ってあります。
でも、そこでの印象は必要以上に引きずることはしません。なぜなら、ほんの何日かで、もっと言えば、声がけ一つでガラッと変わってしまう選手が本当にいるからです。「ちょっと厳しいな」というネガティブな印象を引きずっていると、選手の変化を感じ取ることができなくなってしまいます。
私は、一度はダメだと思った選手でも、良くなってきたと思ったら迷うことなく起用します。前の試合でベンチ外たった選手を、次の試合にはスタメンとして出すこともあります。
ダメだと思ったのは、あくまでも〝その時〟の話です。どこかで変わるんじゃないか、もっと良くなるんじゃないかと、私は本気で期待し続けます。
もちろん、なかなか変わらない・変われない選手もいます。一回の言葉で気づく選手もいれば、気づかない選手もいる。ただ、監督やコーチが何度も言って「気づかせる」よりも、自分から「気づく」ことで選手は本当に伸びていきます。だから、「これをしなさない」「あれをしなさい」というのは、言い過ぎないようにしています。
ということで、すべては思い通りにいきませんが「今年も一生犬命」頑張りましょう!
「ワンワン,キャンキャン叫び続けますーーーー」
中田